銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第16章 ガロプラと小さな傀儡
「小南。こいつを九十九海影として見るな。ネイバーして処理するぞ。」
「そんな!」
「大丈夫だ。殺すわけじゃない。無力化するだけだ。」
『無力化?それはできないと思います。』
「するって言ったらするのよ。」
『出来るならやってみて下さい。玄界の勇士たち。僕はあなた達には負けない。負ければ僕は価値を失う.......それだけは嫌だ。またあれに戻りたくない.....嫌だ....嫌だ.....』
ブツブツと呟き始めた海影は赤月をブレードに変えると風間に斬りかかった。
『嫌だ!!』
「ッ!?(速い!)」
ギンッ!!
「(コイツ。おそらくだが、正気じゃない。正気じゃない相手な上にブラックトリガー使い。太刀川なしで勝てるか?)」
『ねぇ。僕がなんでアフト兵になったかわかりますか?』
「「?」」
『貴女たちに、見捨てられたからです.....数日前の、大規模侵攻でね。』
「私たちがあんたを見捨てた?」
『それで拾ってくれたのがハイレイン。彼がそう教えてくれた。貴女たちは僕を生贄にして大規模侵攻を凌いだって。』
「違う!私たちはあんたを捨ててない!海影!アンタは私たちを助けるために!自分を犠牲にしたの。だから私たちはこうやってアンタを助けようと!」
『信用出来るわけが無い。だってそれを証明する記憶が無いのだから。』
「海影!アンタは騙されてるの!」
『...別にいいです。僕は彼のために戦うって決めた。負ける訳にはいかない。僕には後がないんだから!』
「(あとがないどういう事?)」
「【そうだ。ミカゲ。また実験動物には戻りたくないだろ?】」
『(実験動物には戻らない。戻りたくない。)僕は命じられてるの......玄界が......こっちに追えないようにしろって。ハイレインの、命令は絶対遂行。死んでも遂行させる!!』
「(死んでも遂行!?まさかこいつ洗脳されているじゃ!それに記憶も消されてる!?)」
「ハイレイン、ハイレインって!海影!アンタいい加減目を覚ましなさいよ!!私たちはあんたを捨ててなんか居ない!戻ってきなさいよ!海影!!」
『は?何言って─────』
その瞬間
脳裏に鈴の音が鳴り響き、誰かの呼び声が頭の中に響いた。
─────チリン