銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第16章 ガロプラと小さな傀儡
*****
「ついに戦闘が始まったな。さてビーストトリガーが選んだ適合者......玄界相手にどこまでやれるか。楽しみだな。」
ワイン片手にモニター越しの海影を見たハイレインはくくっと喉を鳴らしながらほくそ笑む。
コンコン......
「ランバネインか。入れ。」
「兄も悪趣味だな。」
ガチャと音が鳴り、少し機嫌の悪いランバネインが部屋に入ってくる。
「入ってくるなり開口一番がそれか。まだ拗ねているのか?」
「拗ねている訳では無い。だが今回ばかりは俺は反対だ。」
「反対か。あればお前の傀儡(ドール)では無いだろ。」
「だか、本当にこの任務に向かわせてよかったのか?万が一記憶を取り戻すなんてことがあったらこちらが危険だぞ。【ビーストトリガー】があるとしても、適合者をみすみすあちらへ返すようなものじゃないか。」
「その心配は無い。捕虜として捕まっても何も言うなと命令してある。記憶のことは心配ない。玄界のヤツらのことは根こそぎ消してある。覚えているのはせいぜい地形くらいだろう。それに何度もの実験で記憶の欠片を取り戻さない限り記憶が戻らないようにしてある。」
「記憶の欠片?」
「前お前に見せただろう2つのアメジストの宝石をな。あれだよ。」
そう言われたランバネインは数日まで見せられた掌くらいのアメジストの宝石を脳裏に連想させる。