銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第16章 ガロプラと小さな傀儡
確かにアフトクラトルでは毎日実験ばかりだった。
得体の知れない液体を何度も注射され、激痛や苦しみに耐える日々。
何度も逃げ出したいと思った。
でもそれが終わればみんなが褒めてくれたし、いつもは冷たいハイレインが頭を撫でてくれた。
それが当たり前だと思っていた。
だからそれらが暖かいのか冷たいのかなんて分からなかった。
「ビーストトリガーはここまで人格を歪めんのかよッ((ボソッ…」
レギーはそういうと手に持っていた薄紫の欠片を握りしめた。
「もしお前の記憶が戻るって言われたらどうする?」
『どうするって......言われても、分からない。それは、命令。されたことじゃないから.....』
「そーかよ。」
『でも......もし戻るとしたら.....僕の大切だった人に会ってみたい。』
「ッ......そーか。」
『レギー?どうしたの?何でそんな、辛そうな顔をしてるの.....??』
「なぁ、ミカゲ。ハイレインは......ハイレインの野郎のことはどう思ってんだよ。」
『....ハイレインは分からない。』
そう答えた海影にレギーは眉を顰める。
「分からないってなんだよ。」
『ハイレインは僕の全てだから.....』
「"僕の全て"?なんだよそれ。」
『言葉通りだよ。ハイレインは僕のご主人様で、僕はハイレインの武器だから。』
「ご主人様......ね。((ボソッ…」
『レギーは?ハイレインの、ことどう思ってるの?』
「俺はアフトは嫌いだ。」
冷たい声でそう呟いたレギーは落としたマグカップの破片を拾い上げ机に乱暴に置くとゴロリとベッドに横たわる。
そして天井を見上げると、高く手を伸ばした。
「アイツらはいつも偉そうにしてるし、それに」
『それに?』
「それにアイツらは──────」
レギーが苦しそうに言葉を紡ごうとした瞬間
2人がいる部屋のドアが急に開かれ、レギーは勢いよく起き上がる。