銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第15章 絶望の足音
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「いい?ミカゲ、今回の作戦の最終確認よ復唱しなさい」
『玄界がこちらに追って来れないようガロプラと協力して阻止することと、玄界の見張り。」
「そうよく覚えているわね。くれぐれも雛鳥を捕まえたり、ヒュースを奪還して来ない事。そして命令は何があっても隊長を優先すること。潜入任務だから定期連絡も忘れずに。隊長は貴女に期待しているわ、ちゃんと期待に答えなさい。でも作戦失敗したらすぐにこの発信機で私を呼びなさい。いいわね?」
『わかった』
海影はコクリと頷くと赤月を起動させた。
しかし、その姿はボーダーにいた頃の姿ではなく、ミラが着ていた服によく似ており、少し大きめのマントを羽織っていた。
その姿はまさにアフトクラトルの兵そのものだった。
「遠征艇に繋げるわ。準備はいいわね?」
『いつでも...いいよ。』
ブォン...大窓が開き真っ黒な枠の中にガロプラの遠征艇と今回協力するであろう2名の人形ネイバーが現れた。
海影がなんの迷いもなく、中に入った瞬間
大窓がスっと音もなく閉じる。
「貴女が今回アフトクラトルから派遣された兵ですね。」
『...うん。』
「やっと来やがったかよ。2日も待たせやがって。ブラックトリガーがあるんだから2日もかけるなよ。」
「やめろ。レギー」
『大丈夫。気に、してない。それより.....貴方がこの部隊の隊長か?』
「いえ、私は隊長ではありません。」
「隊長は別の部屋にいる。俺達はお前の出迎えだ。」
『...わかった、僕はミカゲ...よろしく。』
「俺はラタリコフと言います。ラタと呼んでください。」
「俺はレギンデッツだ。レギーでもなんでも好きに呼べばいい。」
「今から他の隊員に紹介と作戦会議をします。着いてきて貰えますか?」
『...』コク。
ラタは人の良さそうな笑みを浮かべ、海影の前を先導する。
「ラタ...本当にアイツが適合者なのか?あれじゃまるで...」
「ああ。アフトからはそう聞いているよ。」
「アイツら人間をなんだと....」
レギンデッツはギリッと拳を握り、はぁと大きくため息を着く。
そんな彼をラタは心配そうに見つめる。