銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第15章 絶望の足音
「わかりました。」
「....通達は以上だ。各員準備にかかってくれ。」
暗くなった雰囲気を壊すように忍田が声を張り上げる。
「さあ、仕事だ仕事だ。お先〜」
冬島に続き会議が終わると皆が準備のために部屋を後にする。
もちろん三輪も部屋を後にするために席を立った時だった。
「秀次」
「!」
「久しぶりだな。ちゃんと飯食ってるのか?」
海影のこともあった後だしと心の中で東は呟く。
すると、三輪はあくまで冷静に頷いた。
「大丈夫です。」
「そうか。その出水は...」
「あの日以来からずっとランク戦ばっかりしてます。陽介や太刀川さんが付き合っているようですが...以前よりもランク戦に没頭して、戦い方もあいつらしくありません。」
「そうか...やっぱりあいつが1番海影の事を気にするよな。」
「はい....」
「秀次。そんな暗い顔をするな。今度また出水たちでも誘って一緒に焼肉でも食いに行こう。」
「はい。ありがとうございます。」
ぺこりと頭を下げた三輪はそのまま踵を返して出口へと向かう。
そしてピタリと入口の前で止まると、迅に鋭い視線を向けた。
「迅....」
「?」
「お前の役目手を抜くなよ。もし仮にお前の言うアフトクラトルの兵が海影だったとしたら......」
「わかってるよ。"絶対助ける"だろ?」
「ああ。もう二度とあいつに守られるのはゴメンだ。俺も出水もな。」
秀次はそれだけを言うと部屋を後にする。
「....なんだが前より打ち解けたんじゃないか?」
「お前前向きだねー」
嵐山の言葉に迅は苦笑いをうかべる。
「...けどあんまり気負うなよ迅。何かあってもお前一人の問題じゃないからな。海影のこともそうだ。」
「わかってるって。」
「にしてもすげぇなアイツ。ずっとこの重圧に耐えてきてたのか。」
「慣れって怖いよね。でも強い仲間を当てにしてるよ。」
そこまで言うと迅は真剣な趣で言葉を紡いだ。
「なんせまだどんな相手かもわかんないからな。」