銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第15章 絶望の足音
「この場に居ない者の話をしても仕方がない。一応大規模な襲撃の可能性を抑えつつ、基本的にはA級中心で迎撃に当たってもらう。」
城戸がこれ以上海影の話をするなと言わんばかりに話を戻す。
「小部隊でやるなら天羽の力を借りた方が良さそうですね。」
「天羽?」
「アイツは極秘作戦向いてないでしょう。」
「いや、アイツのサイドエフェクトを借りる。」
東の意見に反論した冬島と太刀川だったが、東の答えにその手があったかと納得した間の抜けた声で「あ〜」と返す。
「なるほど確かにそうだ。それも打診しておこう。」
「海影が居ない以上。今回の作戦はお前の予知が前提になっている。働いて貰うぞ...迅!」
城戸は迅に鋭い視線を向ける。
「そりゃもちろん遠征計画を潰させる訳には行きませんから。でも───」
迅はやる気満々に笑顔を向けるが、彼から発せられた言葉が歯切れが悪かった。
「”でも”なんだ。」
不満そうな風間がギロリと迅を睨む。
「今回の侵攻...人死は出ないけど、攻めくる敵の中に数人腕の立つ奴がいる。その中に服装的に...アフトクラトルの人形ネイバーがいるんだけど、ソイツが結構やばい。」
「もっと詳しく分からないのか?」
城戸の問いかけに迅は答えるか答えないか迷った様子を見せるが、ゴクッと息を一息飲んで答える。
「...赤月に似たようなトリガーを使っている。それも使い慣れた...」
「!!?」
赤月そう聞いた瞬間
その場の全員が唖然とし、冷や汗を流す。
「まだ決まった訳じゃない。もしかしたらあっちの世界に赤月に似たような武器があるのかもしれないし、海影はアフトクラトルに連れ去られた。今はアフトクラトルにいるはずだ。」
「わかった。今言ったことも考慮しながら、対策をねっていこう。」
やっとフリーズしていた思考から戻ってきた忍田が場をまとめる。
「仮に...」
【?】
「仮にもしもの時があった時は...各隊に判断をまかせる。」
「それは具体的には?」
「...無理に深追いはしなくていい。敵になるようであれば無力化し、捕虜として拘束していい。」
風間の問いかけに城戸はあくまで平静を装って答える。
しかし、その手は微かに震えていた。