銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第14章 囚われた銀翼
『結果は?』
「結果だが、これといって異常なかったそうだ。お前の赤月は多少ビーストトリガーを拒絶しているが、許容範囲内だ。トリガーホーンもちゃんと定着したそうだ。」
『それじゃあ...』
「ああ。これはお前に返そう。」
ポケットから真っ黒なチョーカーを取り出すと、海影の小さな手に乗せる。
海影はそれを大事そうに握りしめた。
「それとお前に1つ命令がある。」
『めい、れい?』
「ああ。」
コクとハイレインは頷くとあることを告げた。
内容を聞いた海影の表情が凍りつくが、ハイレインは気にせず、話を続けていく。
話が終わってもなお、海影はしばらく放心状態だった。事が事だから仕方ないようにも思えた。
「作戦決行日は明後日だいいな?ミカゲ。」
『わか、た。』
今の海影にとってハイレインの命令は絶対であり逆らうことは出来ない。
だから、海影は渋々それを了承したのだ。
「ミカゲ、今一度問う。お前の隊の隊長は誰だ?」
『?ハイレイン...あなただよ?』
「いいか、これだけは絶対に忘れるな。俺の命令がお前にとって絶対だ。必ず命令を遂行させろ。いいな?」
『おおせのままに...』
それからは海影だけが書庫に戻り、また何も代わり映えしない日常が過ぎていく。
パラパラと本をめくり、海影は大きくため息を着くと本を閉じ、手の中にあるブラックトリガーを撫ぜた。
『何で、なつかしい...気持ちになる、の?』
記憶がある限りでは体験したことの無い懐かしさに困惑する海影。
するとジジジッと目の前に砂嵐が舞った。
【海影】
どこか寂しそうな声が木霊する。
その声はどこか懐かしくて、無意識に胸が締め付けられる。
しかし、直ぐに声も砂嵐もなくなり、海影はさっきのは何だったんだろうと当たりを見回した。
『...つかれてるのかな。』
はぁとため息を着いた海影は首にブラックトリガーをつけるとまた閉じていた本を読み始めた。