銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第14章 囚われた銀翼
気絶してしまった海影をハイレインが見つめていると、
コンコンっ!と大きめなノック音が聞こえる。
「入れ。」
冷たくハイレインが言い放つと、ガチャとドアが開き、赤髪の大男が現れた。
ランバネインだ。
「何の用だ。ランバネイン。」
「いや、実験は成功したのか気になってな。」
「ふん。珍しいな。お前は随分とこの娘が気に入っているようだな。」
「それは兄者も一緒だろう。この娘はマザートリガーになり得るほどのトリオン量を持っているのに、上にはそれ程の力はないと報告したんだろう?」
「マザートリガーにするには惜しい駒だと思っただけだ。」
「ブラックトリガーに角をつけていないのに膨大なトリオン量...確かにかけたエネドラの代わりにはなるが、本気でこの子供を仲間にする気か?」
「これ程有能な駒はない。」
「また駒か。兄はそればっかりだな。」
頑として認めないハイレインにランバネインはやれやれといった様子で、首を振ると、海影に視線を向けた。
「ところで実験は成功したのか?」
「ああ。寄生型トリガー【ビーストトリガー】はミカゲを適合者として選んだ。」
「じゃあ、かけたエネドラの代わりとして隊に入れるのか?」
「ああ。コイツにはこれから優秀な駒として生きてもらう。トリガーはそのままのブラックトリガーを持たせていいだろう。」
そういったハイレインの目は酷く濁っていた。