銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第13章 残された心たち
「なぁ。三輪....俺、どうしたら....あいつを助けられた?どうやったら俺はあいつを守ることが出来た?」
前髪をグシャリと握りつぶし、今にも泣きそうな震える声で問いかけた。
「とにかく食え、お前に倒れたら元も子も無い。」
「...っ。お前...ブーメランって知ってる?」
差し出した食べ物を一向に受け取ろうとしない出水に三輪は呆れたようにため息を零すと、どんよりと曇った空に視線を向けた。
「こうなる事は予知されていながったが...海影が危険になることは既に迅に予知されていた。
だから俺と迅はそれを知っていたし、あいつも承知の上だった。」
「は?それ...どういうことだよ。」
三輪の一言に出水の表情がこわばり、何かを恐れたような表情になる。
「海影は大規模侵攻に参加した時点で、アイツは怪我をするか、死ぬか...いずれかになることは決まっていた。
たとえ、参加しないことが海影が助かる唯一の最前の未来だとしても、海影は...」
「なんっで...なんで止めなかったんだよっ!?ふざけんなよ!」
カッとなり頭に血が上った出水は即座に立ち上がると冷静に迅との会話の内容を話し始めた三輪の胸ぐらを掴み引き寄せた。
「『私は私が選択した答えに後悔をすることない。』」
「はあ?」
「『例えそれが間違った選択だとしても...
誰も認めなくても、自己中だと罵られても...
私自身が危険な目にあっても...
私は後でやらなかったことを後悔するぐらいなら私が最善だと思った方を選択する。
私はヒーローじゃない。ましてや神でもない。
ただの無力で強欲な人間だ。
それでも私は目の前に救える人間がいるなら迷わず手を差し伸べる。
たとえ力がなくても、それが私にできる唯一の事だと思うから...
私は私が守りたい人が無事なら、笑ってくれるならそれでだけでいい...』」