銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第13章 残された心たち
【ボーダーA級隊員 九十九 海影】
の文字が記されていた。
クラスメイトがザワザワと騒ぎ出す。
何でアイツが?いやボーダーだからじゃね?という憶測の声が響き渡る。
最初は小さかったざわめき声も段々と大きくなり、出水を侵食していく。
耐えきれなくなった出水は勢いよく立ち上がる。
「...お、おい?出水?」
バンッ!!と半ば机を蹴飛ばすように立ち上がった出水を誰もが心配そうに見つめるが、そんなのお構い無しに教室を飛び出し、すぐさま朝もよった海影の家へと向かった。
後ろから「出水くん」と呼び止められる声が聞こえるが無視して無我夢中で走り出した。
一刻も早くここから離れたかったからだ。
海影が居なくなったという現実から...
ピンポンピンポンピンポンピンポン!!
何度もチャイムの押すが中から人が出てくる様子はなく、人の気配すらない。
当然だ。だっていないのだから。
「弾バカ?」
呆然と立ち尽くしていると後ろから聞きなれた声が聞こえてきた。
その声で、呆然としていた意識を取り戻す。
「米屋...何で、海影なんだよ...何で!!海影が連れて行かれなきゃいけなかったんだよ!!」
「落ち着けっ!おい!出水!!」
「この状況で落ち着けるかよ!あぁ!?」
「だから!!落ち着けって!!」
「何でだよ....もう......意味わかんねぇーよ。何でいつもアイツは俺を置いて先に行っちまうんだよっ。」
「出水....」
「陽介!出水!...お前らここで何している。」
2人が言い争っているとちょうど今通りがかった三輪に喝を入れられ2人は言い争いを辞める。
すると、コツコツと足音が聞こえ、3人の前に一人の男性が立ちはだかった。