銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第12章 大規模侵攻
連れてこられた先には、ハイレインとヴィザ翁と呼ばれていた老人、そして先程戦ったランバネインが待ち構えていた。
「腹は決まったか?」
『...』
冷たい声でそう問いかけるハイレイン。
微かに震えている海影を見てその場の誰もが哀れだと心の中で目の前の無力な少女を哀れむ。
『...私は...貴方に従うつもりはないっ!』
「理由は?」
『貴方がC級を殺さない根拠がないからよ。それに貴方の駒になるぐらいなら捕虜かマザートリガーになった方がよっぽどマシ。』
恐怖に押し潰された喉で必死に声を絞り出す。
ギロリと反抗的な目でハイレインを見つめる海影に誰もが、この先の彼女の未来を予想して、さらに哀れんだ。
ああ。大人しく従ってればいいもののっと。
拒絶する海影を見て微笑むと俯いている海影の顎を掴み顔を挙げさせた。
「銀の鳥...お前の名は?」
『九十九海影。』
「ではミカゲ。残念だったな。たった今お前は間違った選択をした。」
全身の毛が逆立つほどの悪寒が走る。
あ、やばい。そう思った頃にはもう遅かった。
「これがあるから、貴様は従わないのか?」
ハイレインがそう言うと海影の首につけられたネックレスを勢いよく引っ張った。
『汚い手でそれに触るな!!やめ────』
「やはり首輪か...」
吠える海影の声も虚しくブチッ!という音を立ててネックレスが引きちぎられた。
『あ...あぁ...』
「これでお前を縛り付けるものは無い。」
チャリンッ。投げ捨てられたネックレスは甲高い音を立てて地面に落ちると、ハイレインが忌々しそうに足で踏みつける。
『──ッ!お前!!』
抵抗しようとする海影の鳩尾に1発重い拳が叩き込まれる。
カハッ!と苦しげな声が聞こえ、海影の体だがゆらぎそのまま地面へと倒れた。
『殺す...殺す...殺して...やる...』
「なら、やってみることだ。出来ればの話だがな。」
グイッ!倒れ込んだ海影の顎を持ち上を向かせると、海影の小さな唇に口付け、口に含んだ何かを無理やり押し込む。
『ゥンッ!んっ!んんっ!』
ゴクン。口に押し込まれた薬を飲み込むのを確認してハイレインは海影の口から離れる。
「楽しみにしているぞ。」
『くた...ばれ...』
その言葉を最後に力尽きた海影をハイレインは少し嬉しそうな目で見つめる。