銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第12章 大規模侵攻
それを見てハイレインはフッ。と笑うとミラへと向き直った。
「ミラ、これだけでも連れて帰る。あとは捨て置いていい。」
「!?し、しかし金の雛鳥は目の前にっ」
「何が異論があるのか?」
「っ!?...い、いえ、ありません。」
異議をなそうとしたミラを冷たい目で睨みつけるハイレイン。
赤月が解除されたせいで、動けるようになったミラはすぐに遠征艇に戻るとレプリカを押しのけ操作を始めた。
ハイレインは押し倒された海影の髪を掴むと上に引き上げ、ズルズルと引きずり出す。
『ぅぐぁあ...痛い!痛い!痛い!!』
「銀の鳥を連れて帰る。帰還の準備をしろ。」
「隊長!?大変です!本部から[帰還命令]が実行されています!」
「...そうか。」
興味がなさそうに返すハイレインが船に海影を連れ込む。
ズルズルと引きずられる体は、さらに傷つき、腹部から出た血は一直線に赤い道を作っていく。
「海影、先輩!!」
力なく引きずられていく海影の足を修が最後の力を振り絞って掴む。
その様子を見てハイレインの動きが止まる。
「ハイレイン隊長。時間がありません!」
「...この娘のおかげで命拾いしたというのに死に急ぐものでは無いぞ。玄界の勇士たち。今回はこれで去るとしよう。だが、次はない。
この娘は連れていくぞ。」
ハイレインは修の手を蹴りあげると海影を連れて、遠征艇へと乗り込んだ。