銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第12章 大規模侵攻
───ドクンッ!!
『このタイミングで?....最悪...』
海影がそう悪態を着く。
すると、雑音と耳鳴りが入り交じり、脳を全ての方向からきつく圧縮されるような痛みが海影を襲った。
『あ”あ”ああぁぁぁっ!!!』
「!!?」
その場に蹲り、突然頭を押さえつけながら叫び声をあげる海影。
そんな彼女を修もハイレインも訝しげに見つめる。
『う”っっっ!!!!〜〜〜〜〜〜』
びちゃびちゃッ!!!!と海影の顔の穴という穴から大量の血が吐き出された。
呼吸が段々と浅くなっていき、酷い頭痛と共に今まで読み取った全情報が一気に御影の中に流れ込んでくる。
「サイドエフェクトの影響か...」
痛みに叫び、血を吐き続ける海影を見てハイレインはそう言うと、海影の前にスッと膝を着く。
そしてグイッと上を向けさせた。
『ゴホッ...ヴ...ゲホッゴホッゴホッ...』
「お前!海影先輩に何を....」
「稀にいる。こうやってサイドエフェクトにより命を削られていく子供がな。
いきすぎた力は時に所有者の命までもを奪うことがあるとは聞いていたが...まさかここまでとはな。
太陽に近づきすぎた鳥はその身を焼かれ、地に落ちる...まさに今のお前そのもののようだな。」
そう言ったハイレインは哀れみの目を海影に向けると、未だに血を吐き続ける海影の頬を撫ぜた。
「死にたくはないだろう?銀の鳥」
『...死にたく...ない...』
御影はそれだけポツリとつぶやいた。
体が冷たくなっていく感覚がする。
触覚が無くなっていき、あれほど痛かった頭痛も、骨が軋む痛みも、ハイレインの手の感覚も分からなくなっていた。
「いいだろう。ならば俺達と来い。」
『修...たちには...手を出さないで...』
血を吐きながらも虚ろな目で願いを乞う海影。