銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第12章 大規模侵攻
そしてハイレインは修の手から千佳を奪い取る。
目の前で倒れた修は悔しそうに唇を噛み締めた。
「か...えせ....千佳を.....守るんだ。」
「健闘したな玄界の運び手よ。だが、我々の勝利は確定していた。」
そう言って踵を返し、ミラが事前に開けていたゲートを通り船の中に入り、レプリカの邪魔をする。
だが、このまま千佳を渡す訳には行かない。
海影はユラユラと、立ち上がるとそのボロボロのトリオン体に鞭を打ち、ハイレインに切っ先を向けた。
「まだ動けるのか。銀の鳥。」
『千佳を...!返せ ! 』
立ち上がった海影は怒りに満ちた目でハイレインを睨んだ。
バンッ!!勢いよく踏み込みを入れ、海影はハイレインの腹へと赤月を突き立て、そして離れられないように、左手でハイレインの腕をきつく掴んだ。
『形状変化!!』
海影が叫んだ途端、ハイレインの腹部に刺さっていた赤月が発光し、孤月のような形状から槍へと変わっていく。
その異様な光景にハイレインは脱出しようとアレクトールを使うが海影は体が歪むのもお構い無しに、キツくキツく腕を掴み離れられないようにする。
『あはっ。捕まえたぁ。』
あれを使うしかない。既に烏丸から得た情報で千佳はなん人足りとも傷つけることが出来ないことはわかっている。大丈夫。あれを使う条件は揃った!そう思い北叟笑む海影。
【海影!やめろ!!】
『ごめん。迅』
秘匿通信で止めに入る迅の声を無視して海影は決意を決めた表情を浮かべた。
「海影先輩....」
『赤月!修を守れ!!』
海影が叫んだ瞬間
倒れている修の目の前にハイレインの攻撃で数が少なくなってしまった三本のうち1本のブレードが現れると修を守るように修の前に立ち塞がり、修の体全体を包んだ。。
そしてアレクトールの攻撃のために残しておいた2本のブレードに残り僅かなトリオンを全てのつぎ込み、爆弾へと形状変化させる。
『お前なんかに千佳は.....渡さない!!』
「何!?」
『自爆モード。アンタはここで私が倒す。』
「海影先輩!!!」
カアァァァァー
と赤月が目も開けられないほど発光する。
にっこりと修に笑顔を向ける海影。
そして光が一点に集中した時だった。