銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第12章 大規模侵攻
悔しそうにする笹森の前にしゃがみ込むと海影は笹森と目線を合わせて、いつに無く真剣な顔で言った。
「海影先輩...」
『日佐人くんはまだ戦闘経験が浅い。正直君が私たちの攻撃速度に着いていけないと思う。
それにこれはただ単に倒せばいいってものじゃない。これと同じやつがまだいっぱいいる。
あまり一体に時間を掛けていられないの。』
「でもっ...!」
『甘えるな!笹森日佐人!!』
「っ!」
今までに聞いたことの無いドスの効いた海影の声に笹森はビクッ!と体を震わせ、怯える目で海影を見た。
『君がやるべき事は何?
市街地の被害を最小限に抑えることでしょ?
今は君1人の我儘を聞いている余裕も、時間もない。
1匹でも多くネイバーを倒さなきゃいけないの!
それが今私たちがここに居る理由じゃないの?
ねえ、日佐人。
君には君のやるべきことがあるでしょ?
何もできないわけじゃない。
今の君の力で出来ることをしなさい。』
「海影先輩の言う通りだ。お前は堤さんと他のトリオン兵を追ってくれ。諏訪さんはオレたちが必ず助ける。」
「...了解...!」
笹森は泣きそうに顔を顰めながら頷き、大人しく別の場所へと行動を始めた。
「敵の数が多い。さっさと片付けて次に行くぞ。」
「「「『了解!』」」」
風間の言葉で三上、歌川、菊地原、海影は眼下の新型に向かって突っ込んでいく。
【海影。そっちが終わったら東さんのサポートに行け。俺たちのことは気にするな。】
『了解です。風間さん!...東さん!増援には私が行きます。それまで持ちこたえられますか?』
【...わかった。何分かかる?】
『そうですね...』
未だ臨戦態勢で海影を見据えている新型を見て海影はニィッ。と笑った。
『移動を合わせて5分です。』
「わかった。」
『じゃ、すぐに向かいますから、それまで耐えてくださいね。』
スコーピオンを構えると海影はラービットに突っ込む。
それからズタズタにラービットを刻み、力尽きた新型はトリオンを吐きながら、倒れた。
『風間さん!こちらは終わりました!東さんの元に向かいます!』
「頼んだ。」
まだ戦闘中なのだろう淡白な返事が帰ってきた。
海影はその声を聞くと、すぐに東のいるに南方面へと走り始めたのだった。