第9章 Drunk Sweetie
「カカシぃー!こっちぃー!」
いつも集まってるという、宿からは結構離れた場所にある居酒屋へ来ると、一番奥の座敷の席からこちらに手を振る、みたらしアンコの姿があった。
その向かいには煙草を咥えたアスマと紅。まだ全員が揃っているわけではなかったようだ。
「おう、来たか。久しぶりだな。」
「ま、たまにはね...」
「たまにすぎんのよ!あ、そちらが例の?」
アンコはカカシの後ろを着いてきていたさきに視線をやった。
「そーそー。夜野さきちゃんね。」
『よろしくお願いします』
さきは持ち前の明るさと社交性を発揮して笑顔で挨拶をする。
そんな彼女に一番に声を掛けたのは紅だった。
「さきって言うんだ。私、夕日紅よ。 カカシと同期の上忍。」
「オレも同じく、猿飛アスマだ。 何度かさきのことは見かけたことあるよ。殆ど気ぃ失ってたけどな」
アスマはもみあげから続く立派な髭の頬に楽し気な笑みを浮かべてハッハッハと声にして笑う。
『えっ......もしかして私の修行後のことですか?』
「そーそー。よくカカシに背負われてたわよね! アスマと二人でたまに見かけてたの。」
『うわ...そんな見苦しい場面をすみません』
恥ずかしそうに肩をすぼめるさきにひと際明るく声を掛けたのは、最初に手を振っていたアンコだ。
「ねぇ、敬語辞めにしようよ! 私はみたらしアンコ!仲良くしてねさき」
『ありがとう...こちらこそ!』
「で?いつも煩い人がまだ来てないみたいだけど?」
「あぁ、ガイか? さっきまで逆立ちで里内走ってたから、まぁそのうち来るだろう」
『さ、逆立ちって、そんな罰ゲームみたいなことしてんの? そのガイって人?』
「いつものことだよ。さきも変に目をつけられないよーにね」
『え?...どういう意味?』