第72章 mew
それにしてもなんて綺麗な人だろうか。
如何にも男性の好みそうな、THE美女。
これが特殊能力だなんて羨ましすぎる。
(もしこの人がカカシの隣にいるとすれば…私なんて敵いっこないわ。美男美女カップルだ、って里中騒がせてるに決まってる。)
さきの思考回路が勝手に働く。
卑屈になっているわけでは無く、息をのむほどの彼女の美しさにそれほどまでに魅了されていたのだ。
「フ…そんなにワシが美しいか?」
『えっ!』
首を傾け柔らかに微笑む女性の問いかけに何故か胸が高鳴った。
「金華猫に魅了されるのは人として仕方のないことニャ。きっとそのうち慣れる。」
「なっ!慣れるわけがないじゃろう兄上!なんと失敬な。」
ぽうっと頬を染めるさきを余所に、猫兄妹は口論を始めた。
よくよく会話を聞くと、どうやらこの女性は昔契約していた忍のことが忘れられず、またその忍が亡くなってしまったことからこの真っ暗な部屋にもう十数年も籠りっぱなしなのだという。
(それなのに、自分を迎えに来た忍がこんな私みたいな出来損ないで…そりゃ不服に決まってる。猫は人の中身まで見るって言うしね…ま、この人は人間の姿してるけど。)
「いい機会じゃにゃいか。あの猫バアが寄越したということは、そういうことニャ。」
「…断る。そもそも、この娘我々忍猫が使いこなせるとは到底思えぬ。
仮にワシが契約したとする。ワシ一人ならまだどうとでもなろう。だが曲者揃いのアヤツらはどうする?」
「何を言うニャ。お前が一番手がかかるというのに…」
ん?”アヤツら?”