第9章 Drunk Sweetie
コンコンコンと何度もノックされるドア。
まだ部屋に入って数分しか経ってないにも関わらず、自分を訪れてくる犯人はたった一人しか思い当たる者がいない。
カカシは、やれやれこの子はホントに...と下ろしたばかりの腰を上げ、半ば呆れて「はいはい」とドアを開けた。
『あっやっと開けてくれた! ねぇ、修行に付き合ってくださいな!』
「それはいいけど...明日からにしよう。 お前は今日は朝から動いてるんだから、明日のためにチャクラ温存しておけよ」
『え~...でもカカシ三日後には発つんやろ? 少しでも沢山教わりたかったのに』
「熱心なのはよく分かるケド...センセイの言うことも聞きなさいよ」
そう言うと、短く返事をしてさきは隣の部屋へ帰って行った。
彼女はセンセイという言葉には弱い。
さて、三日後の十二月の四日には、カカシは初めてさきを一人だけ残して少しだけ長めの里外任務へ行く。
それは出会ってから初めてのことだったから少し心配でもあったが、彼女も大人だし、何とかやって行くだろう。
ただひとつカカシが気がかりなことは、さきは自分以外の忍と殆ど関わりがない...ということだ。
......ま、そろそろさきも任務が始まるだろうし、自分の同期くらい紹介しておかないと、チームワークに支障が出ても困るな...と考える。
「......今日は久々に顔出しに行きますか」
仕方なしと言わんばかりに、カカシは小さめの紙に「今夜は参加する」旨を書き、窓から伝達用の鷹を使って幹事のアンコへと飛ばした。
それはいつも面倒で断り続けていた月初めに行われている同期の飲み会だ。
さきを連れていけば、オレに無駄に絡んでくる奴らも彼女に興味を示してくれるだろうし、さきの今後の為にもなるか...と、足を運ぶことにした。