第7章 EXAMINATION
アジトの中には10名ほどの山賊がいた。
そいつらの周りに、子供がいるのが確認できる。
(あれね、集落の子供たちって...)
しかしその姿は酷いものだった。
体から滲む血が泥と混ざって固まっている子、大声で泣く子、庇いあって抱き合う子、神様に願うように手を組んでいる子もいた。
山賊達は、「うるせぇぞ黙れ!」などと怒鳴りながらその小さな背を蹴り飛ばしていた。
...ぶちっ とさきの中の何かが切れた。
『影分身の術!!』
さきはまだ完成して間もないこの術を迷わず使った。
ボフン!!という音が鳴り、直後、山賊に突っ込みながらさきと影分身のさきは二手に別れた。
術は成功だ。
『あの子達の救出を!』
『はい!』
本体のさきが影分身のさきに指示を出す。
突然の襲撃に、山賊たちは狼狽えながらも、立てかけていた武器を手に吠え始めた。
「な、なんだァ?てめぇら!!」
次々と襲いかかってくるクズどもを、さきは纏めて相手してやることにした。
影分身のさきはただの目くらまし。
さきは手足にチャクラを集中させた。
『はぁぁっ!!』
さきの攻撃が決まるたび、バキッ!!と惨くもどこか心地よい音が響き渡る。
さきは体術を駆使し、相手を確実に気絶させるよう宙を舞いながら重い拳と脚技を繰り出していった。
修行中、恐ろしい程素早いカカシ相手に死ぬ気で何度もかかっていってたからか、彼女には奴らの動きはまるで静止しているかのように見えていた。
さきを止められる者などいなかった。
『ふざけんなよクソ野郎!!おめぇが黙ってろ!!!』
......あとカカシをはじめ、世の中の男性には絶対聞かれたくない汚い言葉も、無意識のうちに繰り返し使っていた。
さきは完全に伸び切った山賊を手早く縛り上げ、パンパンっと砂埃を払った。