第7章 EXAMINATION
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一族長には「辞めておけ」と強く言われたが、あんな話を聞いて、一族や里の大切な宝である巻物まで渡そうとしている彼らの事を、さきは放ってなどおけなかった。
巻物を渡して帰ればさきの試験はクリアになる。
しかし困っている人...木の葉の仲間と呼べる人々や、一族の重要な宝を、それとイコールにするなんてさきにはできやしなかった。
そんなものは、また別の問題である。
『ここね...』
アジトの入口には、目つきの悪いゴロツキが数名いた。
こちらの様子には全く気づいていない様子で、酒を浴びるように飲み、賭け事か何かで遊んでいた。
さきは近くの物陰に身を潜めた。
音を立てずに体制を整え、足元に落ちている大きめの礫を拾い上げ、人数分、狙い定めてその手から放つ。
「...ぐぁっ!!」という唸り声を上げて、辺りの山賊は意識を失った。
礫をまともに食らった彼らはいい感じに伸びている。
今のうちに...と、手早くそいつらの手足と体を縛りあげ、纏めておく。
そうしてさきは、出来るだけ気配を殺してアジトの中に潜入した。