第7章 EXAMINATION
さきと影分身のさきは、二人がかりで10名の子供たちを二人ずつ両手に抱き抱え、集落へ連れ帰った。
怪我をしている子供には消毒液や包帯などで簡単な応急処置を行った。
しゃくりが止まらず、過呼吸ぎみに泣く子もいたが、暖かい家族の元に戻ると、安心したのか落ち着きを取り戻していた。
集落の大人達も、皆の帰りを喜んでいた。
『...よかった』
さきはその様子に、ほっと胸を撫で下ろした。
「忍殿。本当にありがとうございました。 この巻物は、本来火影様が持つべき書物じゃ。 返還を願っておきながら厚かましいのだが...どうか、お返しいただけんか。」
一族長はさきが木の葉から持ってきた例の赤い巻物をさきに手渡してきた。
『...わかりました。責任をもってお返しします』
......任務は失敗だ。
巻物は火影様の元に返すのだから。
しかしさきはそのことに対して後ろ向きな気持ちは一切持っていなかった。
優しい笑顔で巻物を受け取り、一族長と握手を交わす。
「また、いつかのう」
『はい、また』
集落の皆は総出で「ありがとう」と手を振り、さきを見送った。
『よし、帰ろう』
さきはシュタッと、素早く木々の間を駆け抜けた。
その頃、後ろをつける何者かの影は、さきが集落を後にしたことを確認し、瞬身の術で消えた。