第7章 EXAMINATION
集落には、火影様が仰っていた一族長がいて、さきが到着するなり「待っておったぞ」と建物の中へ入るように促された。
さきは腰を下ろし、早速試験の要である赤い巻物をバッグから取り出して一族長に見せた。
『こちらが託された巻物です。』
「おお、これじゃ頼んでいた物だ!悪いなお嬢さん。助かった。」
『いえ、あの、もうお嬢さんなんて呼ばれる歳じゃありませんし...任務ですから当然です』
さきはニコりと微笑み返した。
しかしその笑顔とは裏腹に、一族長の表情は曇天の空のように曇ってゆく。
「...この巻物は、この周辺にアジトを構える山賊に渡すものなんじゃ。」
『......山賊?...何故そんな人達に?』
「今この集落には、大人年寄りしか残っとらんが、10名の子供が本当は住んでいる。 人質として捕えられているのだ。 この巻物は、子供たちと引き換えにするんだよ。」
『......一体どんな内容なんですか?その巻物』
一族長は開きかけた口を一文字に結び、視線をさきから背ける。
怪しく思ったさきは眉根を寄せ、『...一族長様?』と少し控えめに催促した。
「ワシら一族の古くから伝わる薬品の調合表じゃ。 毒にもなり、良薬にもなる。 木の葉の里では、高等医療に使用されるため、大きな病院でしか扱われておらんが、他里に渡れば、悪用する者も中にはおろうな...」
『なっ! そんな大切なもの、絶対渡してはいけません! 一族長様どうかお考え直しください! 木の葉の忍をちゃんと雇えば山賊くらい...』
「金はもうない......何度も金で取り合ってもらおうと、山賊に納めてきたのだが、全て盗られ、その結果子供たちが犠牲になっているのだ...」
さきは怒りでギリギリと手を握り締めた。
なんてヤツら。
同じ人間のすることとは思えない。
『一族長様......私がなんとかします。山賊のアジトはどこですか?』