第7章 EXAMINATION
少し手間取ってしまったが、“カカシ先生”が仕掛ける“性格に難アリ”と思われても仕方ない意地悪なトラップに比べたらおちゃのこさいさい。
さきは、よし...と身なりを整え、再び目的地を目指して走った。
...さて、どのくらい走ったか。
おかしい。絶対おかしい。
さきは何か良からぬものを感じていた。
一度足を止め、クナイで木に印を付ける。
『これでよし、迷ったらこっちね。』
数本ずつ間隔を開け、クナイで傷をつけては走り、また傷をつけては走った。
でも、どれだけ走っても目的地が見えないのだ。
もう既に着いていてもおかしくないはず。
さきは飛び乗った木の上で少し乱れた呼吸を整え、思考を巡らす。
(...まさか)
さきはある可能性にたどり着き、走ってきた方角から90度転回した位置にある木を注意深く何本か観察する。
(......あった!)
先程切りつけた木のうちのひとつだ。
他には...... あった。あれだ。
しかし、自分はこんなバラバラな方向に走ってなどいない。
つまり、何らかの仕掛けによって傷をつけたはずの木がバラバラな方向に設定されてしまっているということだ。
『なるほど。これは幻術ってわけね。』
えぇと、確か幻術をとくには...とカカシとの修行を振り返る。
......幻術にかかったら、一旦自分のチャクラを抑えろ。
相手に乱されている頭の中のチャクラを整えるよう、それを上回る力でチャクラの流れを乱せばいい。
チームでいる場合は仲間にチャクラを流し込んでもらい、解いてもらうという方法もある。
もとより、戦場では幻術を仕掛けた人物を倒すことが最優先となる......
カカシの教えを思い出したさきは、両手で虎の印を組んだ。
は...と息を吐きチャクラを抑える。
『解!』
チャクラを膨張させるイメージで力を込めると、すぅっと五感が冴え渡り、目と鼻の先に目的地を発見した。
『やったっ!案外やるやん私...』
急いで目的地へと進む。
その背後には、またあの人影が潜んでいた。
「ここも突破したか。」