第7章 EXAMINATION
さきは火影様から受け取った巻物をバッグに大切にしまい、目的地を目指した。
宙に浮く度、冬の冷たい風が痛いほど体に染みる。
ふと首元をみると、いつものカカシと色違いのマフラーが無かった。
『あれ?忘れてきちゃったんや...あるのと無いのとではやっぱり違うな...』
さきの目指すその目的地とは、木の葉の里の外れにある山の中の小さな集落。
火影室で見せてもらった地図を元に、里の門の外を僅かな恐怖心を振り払って移動する。
きゅっと拳を握りしめ、さきは前だけを向いて走った。
(何があるかわからんし、集中しやなね。)
トン、トン、トンと軽やかに木々を抜ける。
このペースならあと30分あれば着くだろう。
......と、ハッとあるものに気づき、後ろに飛ぶ。
『......そういうことね...』
注意力を測るためのトラップだろうか。
よく見ると、辺りには起爆札やワイヤーを駆使したトラップがいくつも仕掛けられていた。
(...面倒やけど、回収していこう。)
トラップに触れないよう忍具をひとつずつ確実に回収していく。
しかしさきは、その様子を影から伺っている人影に気付くことはなかった。
「......問題なさそうだな」
人影は誰にも気づかれることなく、ぽつりと呟いた。