第6章 衝動…?
...
恥ずかしい。
行き場を失った右手は、自身の唇の前へと自然と動き、キュッと握りしめられていた。
目をカカシの顔から外すことができない。
心拍数は徐々に上がって行った。
(おかしい おかしい おかしい。この気持ち。
絶対におかしい。何してんの、私。)
『......ぁ......ごめんなさ......』
“誰”に謝ったのかは分からないが、恐らく真っ赤になってしまった顔をカカシに向けたまま、私は謝罪の言葉を口にしていた。
が、それは最後まで言い終えることは無かった。
よく聞く、“ふんわりと良い香り”だとか“お揃いのシャンプーの香り”なんて、感じる余裕などどこにもなかった。
「.........ねぇ...なにそれ......可愛すぎでしょ」
耳元で低くて甘ったるい声がした。
さきの目が次に捕らえていたものは、低い天井と、白銀の固くて太めの彼の髪。
すっぽりと自分の身体はカカシの両腕の中に閉じ込められ、先程とは違う強い力で抱きしめられていた。
ぎゅう...っと、更に身体をカカシの方に引き寄せられる。
「バカでしょ......お前...」
『......カカシこそ......』
ドッドッドッと激しく高鳴る胸の音。
あぁカカシに聞こえちゃう......
胸が、張り裂けそうだった。