第6章 衝動…?
時間の感覚が狂っていた。
しばらく、二人の間に沈黙が続いた。
ピィィーーーー と、とろ火に掛けていたヤカンが鳴き始めた。
先に声を発したのはカカシだった。
「......さき......火...止めないと...」
『......うん......』
カカシはするりとさきから離れて、コンロの火を止めに行った。
ほ...と息を吐いて、その背を横目で見たさきの胸が、ほんの少しだけ高鳴る。
拒絶されなかったことへの安心も感じていた。
カチ...と火を止めたカカシ。
しばらくそこから動かなかったが、さきはそれをじっと同じ場所で眺めていた。
ふ と彼がさきの方へ顔を向けたその瞬間、たまらなく、また、甘えたいという欲が湧き上がった。
ふらつく足を一歩一歩動かし、カカシの方へ少しずつ歩いていく。
カカシはそこから一歩も動かず、こちらをじっと見ていた。
カカシの服を掴もうと、手を彼の方に少しばかり伸ばした.........その時
はっ と突然、冷静に返った。
_____ わたし、なに、してんの。
それから先のことを全く考えていなかったさきは、ぱっと手を元に戻し、歩みを止めた。
カカシはそれでも動かない。
(や、ばい こと、した)
そして、自分の頬の熱が高くなっていくのを感じた。