第6章 衝動…?
衝動的にそう思ってしまった私は、ぼんやりと彼を“利用しよう”と考えた。
(ぜんぶ...疲れ切った身体と、寝起きでぼうっとするバカな脳みそと、焦点が定まりきらない視覚のせいにしてしまえばいい...)
カカシがゆっくりと歩きながら、さきに何か夜ご飯のことを話している。
でも...今だけは
聞こえない。聞きたくない。聞かない。
カカシは1歩踏み出して片手で椅子を引き、さきを座らせるためにくるっとさきのほうに向き直った。
さきには、全てがスローモーションのように見えていた。
拒絶されたらどうしよう、なんて都合の悪い面倒なことは考えなかった。
それなら別にそれでもいい。
言い訳なんていくらでも出来る。
私は大人の女なんだから。
さきは、ぼんやりとする頭で、今から自分の心のどこかにある意思でやることを、自分の意識外の行動だと決めつけて。
都合よく疲れ切った身体と、寝起きでぼうっとする脳みそと、焦点が定まりきらない目のせいにして。
自分の正直すぎる心に身を委ねた。
ポスり...とおでこを胸に沈め、カカシに近づく。
自由になっていた手は...ふわりと彼の服を掴んだ。
目は...開けなかった。
カカシの胸の中に入るのは、これで二度目だった。