第5章 私の先生、初めての生徒
彼女のチャクラはとても不思議だった。
人と違う点は大きく2つ。
ひとつは、さきの感情の起伏や、練り込む量によって通常水色をしているチャクラが変化する。
【水色、青、緑、赤、黄、金、銀】の順に計7色。
因みに今は青色のチャクラだ。
もうひとつはチャクラの練り方でその流れ方に変化が現れること。
カカシがさきのチャクラを例えるのにぴったりな表現は、線香花火だった。
人並みにチャクラを練っている時は、蕾や散り菊のように大人しく美しく丁寧にヒュウヒュウと流れる。
今のようにチャクラを練っている時は、激しくチッチッチッと光を放って燃えている牡丹や松葉のように激しく力強く輝くように流れる。
カカシが写輪眼をしまうと同時に再び彼女は高く飛び上がり、宙を舞った。
次々と手から放たれる十本のクナイ。
サクッサクッと遠くから聞こえるロープが切れる音。
目の前に舞うさきは忍そのものの姿だった。
内に秘めるさきのチャクラのその様子と、大胆だが美しく、無駄なき動きで宙に高く飛び舞うその姿を何度か見るたび、カカシは、まるで夏の空に咲く大輪の花火をみているかのように感じていた。
そして、それを元に彼女だけの必殺技が作れるのではないかと密かに考えていた。
(もし出来れば、お前が好きな夏にぴったりな術になるかもな。)
カカシは、スタッと軽やかに降り立った彼女を見て、教えてやれるのも案外遠くないかもしれないな...と、生徒第一号を誇らしく思った。