第72章 mew
「ほう…サスケの先生か。どれ、少し話を聞かせてくれニャ。ワシはイタチが暗部に入るよりもずっと昔に、あの子のことを頼まれていたからな…」
『そうなんですか!?サスケくんの兄に!?』
「そうニャ。今となってはビンゴブックにも掲載されるお尋ね者になってしまったが…良い子だった。」
『あの…もし猫又様さえよろしければ…』
―――サスケくんとお兄さんの話を聞かせて下さい。
それは祈りにも似た気持ちだった。
まるで本当の弟のように可愛いサスケが、他人から見てどんな風に兄から愛されていたのかを知りたい。
大蛇丸の手に落ちてしまわないよう、サスケが復讐に溺れてしまわないよう、知れることや出来ることは何でもしたい…そんな気持ちだった。
猫又は、そうだニャ…とゆっくりと大きな口を開き始めた。
◆
一方その頃…
「口寄せの術は高度な時空間忍術じゃ…どこかに飛ばされているんじゃないのかい?」
猫バアの隠れ家から突然姿を消したさきについて、様々な予想が飛び交っていた。
流石のカカシも、さきが姿を消してから数十分経った頃には焦りを感じていた。
何せ、自分の知識を遥かに超えることが愛する人の身に…そして目の前で起きてしまったのだから。
「カカシ。拙者も猫バアの考えと同じだ。かつてのお前の師匠、波風ミナトを育てた自来也も、蝦蟇の住む妙朴山へ飛んでいたことがある。つまりさきもどこかに飛んでいる可能性が高い。ここで待っていても帰ってくるかは分らん…何の手掛かりもないが、拙者らには鼻がある。探しに行ってみるか?」
「そうね。パックン、皆でさきの匂いを追ってちょーだい。
僅かでも匂いを感じ取ったら直ぐに教えてくれ。」
「承知した!」