第71章 meow
「うちの猫たちがごめんなさいね。
バアちゃんに会いたいのなら、私がウチまで案内するわ」
「助かるよ」
『ありがとうタマキちゃん』
「どうぞ、こっちです」
さきとカカシは並んでタマキの後を追って歩いた。
薄暗い道をまっすぐ進み、左に曲がり、また左へ。
階段を上ったり下ったりして、今度は右。
まるで迷路のような道のりを進むこと約10分。
これは彼女に道案内をお願いして正解だったな、と胸の中で確信していた。
「ついたわ!ここがウチよ!」
足を止めたタマキの少し先に、明らかに照明の光が漏れ出しているなんとも怪しい部屋が見える。
「バアちゃんただいま!お客さん連れてきたわよ!」
『お邪魔します…』
一応、礼儀として挨拶をしてから中に入ると、そこには猫のような…まさに猫バアと呼ばれるにふさわしい風貌の一人のおばあさんが座っていた。
「おや、誰だいアンタたち。うちにいったい何の用だい?」
細い目が、いかにも怪しいものを見るようにさきらを捕らえる。
咥えられていた煙管が口から離されると、肺いっぱいに吸い込まれていた白い煙がもわもわと吐き出され、部屋いっぱいに広がった。
彼女の周りにはたくさんの猫たち。
彼らもまた、さきやカカシを品定めするようにじっとりとした視線をこちらに向けた。