第71章 meow
さきは思わず首を傾げた。
まさか猫に金銭を支払うというのか…?
いや別に、払えというのであれば払うつもりではいるのだが。
「…まさか、金って訳じゃあないんでしょ?君たち猫が人間の金を使うとは思えないしね」
カカシは眉尻をハノ字に下げてため息混じりに呟いた。
それぞまさに猫に小判だ。
「あら、お金をくれるって言うのなら、是非バアちゃんにやってくれます?」
まるで猫のように足音もなく、次に暗がりから現れたのは、ナルトたちと然程歳の変わらなさそうな可愛らしい少女だった。
屈託のない笑顔をこちらに向ける彼女は、間違いなく人間である。
『あなたは…?』
「私はタマキ。猫バアの孫娘です」
タマキの足元には既に、先程の二匹の忍猫が擦り寄っていた。
どうやら彼らの扱いにも慣れているようだ。
「それで、ここに何の御用ですか?
見たところあなたたちは木の葉の忍みたいだから、何か武器でも買いに?」
「いや、今日は口寄せの術を契約できる忍猫を猫バアさんに尋ねに来させてもらったんだ。
その子たちに出迎えてもらったところで、この先猫バアさんに会うには通行料が必要だと聞いてね」
「またアンタたち!お客様にそんなこと言ったの?
あわよくばマタタビでも貰おうとしてたんでしょ…まったく!」
二匹の猫を両手で抱え上げたタマキは、眉間に立て皺を作ってむっつりと唇を尖らせた。
猫たちは彼女に叱られてシュンとなるどころか、一見腕の中で大人しくしている様に見えて、チッ!と盛大な舌打ちをして悔しがっていた。
(そんなにマタタビが欲しかったのかな…)
さきはほんの少しだけ手ぶらでここに来たことを反省した。