第71章 meow
そう言われてしまっては、さきも押し黙るしかない。
とはいえ、出来ることなら口寄せ動物は猫がいい。
その気持ちは意外と強いのだ。
さきは少なからず、カカシとパックンを含む八忍犬たちの関係性に憧れを抱いていた。
彼らはお互いを信頼し合っており、戦いや任務のサポートだけでなく、こうして傍にいてくれる大切なパートナーでもある。
―――でもきっと、最初からこうではなかったはず。
猫は確かに自由な性格ではあるけれど、近距離においての視覚と高周波の音に関しての聴覚は犬よりも優れていることをさきは知っていた。
だからカカシのサポートを自分がしていく上で、カカシの忍犬たちで賄えていない部分を補うことが出来るのは、きっと忍猫だ。
それに、猫は手がかからない。
…し、パックンには悪いが、さきの個人的な好みで言うと、犬より猫の方が圧倒的に可愛いと思っている。
(猫とだってきっと互いの親密度を高め合えば…カカシとパックンたちのようになれるかもしれない。
…それに…カカシが扱いきれないという忍猫を、もしも私が完璧に扱うことが出来れば、この悔しさだって少しは晴れるかもしれないしね。)
さきはカカシに縋るように、彼の腕に手を伸ばした。
『…でも、やっぱり私、忍猫がいい!』
「……本当にいいの?
多少のサポートはしてやれるかもしれないけど、オレは何も教えられないよ?」
『うん、いい。大丈夫!』
「やれやれ、何を言っても無駄か…」
『やったっ!ありがとうカカシ!』
「忍猫のことならまずはあの人のところだな…
ま、先にナルトをエビス先生に預けてからだな」
強気のさきに、カカシはこれ以上何を言っても覆らないと判断し、ナルトのことをエビス先生に任せた後、さきを連れて空区に向かうことを決めた。
カカシのさきに対する気持ちをよく知るパックンは、やはりさきには甘いのだと、大きな溜息をひとつ吐いた。