第5章 私の先生、初めての生徒
『......カカシ遅いよ~』
「いや~悪い悪い。ちょっと考え事しててね」
『もー...ま、いいや。今日もよろしくお願いします』
カカシが演習場についた時には、待ちくたびれたさきがウォーミングアップをして、一通りのチャクラコントロールの業をこなした所だった。
さきはようやく現れたカカシに、『今日もよろしく』と頭を下げる。
「よし、じゃ、始めるぞ。 まずはオレが仕掛ける十の的全てのど真ん中に手裏剣を投げられるかどうか。 次にその手裏剣の刺さった的を支えるロープを全てクナイで切り落とせたらテストはクリアだ。」
『はいっ』
説明を終えたカカシはさきの視界ギリギリのところを狙って的を仕掛け始めた。
中には岩などの障害物の死角にも配置しているが、さきの位置からでは全く見えないため、一度高く飛び上がり、状況を確認する必要がありそうだった。
『え~...ほんま性格悪い... 絶妙に微妙な位置ばっかりっぽいやん...』
ブツブツ文句を言っているが、実戦となるとこの絶妙な意地悪さが逆に役に立つということをさきはまだ知らない。
カカシは長年の経験を元に最良の課題を与えていた。
...と言っても、どの上忍師よりもスパルタじみてるのは間違いないのだが...さて、全ての的が仕掛け終わったようだ。
『カンニングはあり?』
「一回だけね。的に近づかないならありにしようか」
『よ~しっ』
正確に的を射るためには、先に目標の位置を大体でも知っておきたい。
さきは足にチャクラを込め、フワッと重力を感じさせないよう飛び上がり、空中で体を何度も捻って様々な方向を確認し、音を殆ど立てずに着地した。
(...やばい。一枚見つからなかった。)
「よし、準備はいいな?よーい...スタート!」
さきは内心焦りつつ、とにかくさっきより高く飛べばなんとかなる...と信じてもう一度足にチャクラを込め、高く高く飛びあがった。