第71章 meow
「…さき…さき!おい聞いてるのか?」
『わっ⁉パックン…!』
そこに突然、カカシの忍犬のパックンがカカシの腕からさきの方に飛び乗ってきた。
「全く…なんちゅう辛気臭い顔してる?カカシ、まさか拙者を呼んだのはさきの機嫌取り役ということではないだろうな」
ハハと笑いながら、「そんなわけないじゃない」とカカシは言うが、色々と考えあぐねていたさきは、カカシがいくら話しかけても返答もなく、ますます難しい表情になる一方だった。
悪気があったわけでは無いが、さきが完全に拗ねてしまったように思えたカカシは、せめて反応くらいしてほしいとパックンを呼び出したのだ。
カカシがボソボソとパックンに耳打ちすれば、パックンは肉球でふにふにとさきの頬や頭を押してみたり、顔を擦り付けたり等してなんとかご機嫌を取ろうと試みる。
遂にさきは大きく溜息を吐き、渋々パックンの頭を撫でた。
『はぁ…人間じゃなくて犬に相手を任されているようじゃ、そりゃ私もダメダメやんね…』
「さき、そうは言うが、犬をバカにしてると痛い目見るぞ」
パックンはここぞとばがりに言い返した。
『馬鹿になんてしてないよ?』
「昔はカカシも拙者たち忍犬と修行をしたものだ。
今となってはここまで立派にはなったが、こーんな小さい頃なんて毎日コテンパンにしてやったものだぞ」