第71章 meow
拗ねたというよりも。悔しかった。
本当は、一緒に修行するか、とか言って欲しかった。
―――でも分かってる。
私はカカシの足元にも及んでいなくて、修行や鍛錬の相手にもならないことくらい。
私の中忍試験前の鈴取りだって、カカシは決して本気というわけではなかった。
第七班を受け持ってからというもの…いや、私を教えるようになってからといった方が正しいだろうか。
私が同行したAランク任務でも、あの再不斬との一戦のように本来のカカシの力を引き出すような戦いはなかった。
―――カカシは本当はもっと凄い人で、もっと強くなるはずなのに、今の私なんかが相手では逆に足を引っ張ってしまう。
現にサスケくんに近付くカブトだって、前々から怪しいと思っていたにも関わらず気付けなくて…結局カカシに助けられたんだ。
さきはグッと唇を噛んだ。
さきの中でカカシは、”護りたい人”から”護らなければならない人”に昇格しているのだ。
さきが抱くカカシに対しての恋心を自覚したその時から。
…私は今よりもっと強くならなきゃならないのに。
なんだか全然、前に進んでいない気がする。
―――もう、”あんな思い”をするのは嫌……