第5章 私の先生、初めての生徒
『ね、今日は何を教えてくれるん?』
「そうだな……ひとまず、手裏剣術の応用…教えた事がマスターできているかテストするところからかな。」
火影様からさきを一人前の忍に育て上げるよう命じられたカカシは、さきの先生と、上忍としての任務を日々こなしていた。
『はい!カカシ先生っ』
「だから、やめなさいってセンセイは…」
カカシは修行中、決して手を抜いたり私を甘やかすことはなかった。
むしろスパルタ。 バキバキに筋トレした後に、演習場を50周してこいとか。 休む間もなくチャクラコントロールの練習とか。
でもさきは、修行をつけてもらう度にカカシがどんなに優秀な忍なのかも直に感じていた。
力も体力もチャクラ量も、何もかもが規格外。
ただただ、凄いと思った。
図々しいかもしれないと思いつつも、カカシはさきの目標にもなった。
一方、人並みにしかチャクラを持ち合わせていないらしいさきは、殆ど毎日ヘトヘトになるまで体を追い込み、カカシがいる日は、その背に負われて帰宅する日も少なくはなかった。
カカシは自らの任務の少しの空き時間でも、さきの修行にあてていた。
だからさきも、なんとしてもそのカカシに応えたかった。
自分で作った手編みの白いマフラーを身に付け、“カカシ先生”よりもはやく家を出て今日も演習場へ向かう。
初めこそ苦手だったが、今では屋根から屋根に自由に飛び移ったり、高い電柱のてっぺんにバランスよく立つことも出来るようになった。
私はここで生きる目的を見つけるために、本物の忍に早くなるんだ。