第67章 予選開幕-3-
「さっさとケリつけてやるわ!
すぐにアンタの口から参ったって言わせてやるー!」
次にいのは、両手でハートマークにも似た印を結び前に突き出した。
さきがこれまでに見たことのない、印だ。
『カカシ、あれは何の術?』
さきはすかさずカカシに解説を求めた。
「あれは心転身の術だ。精神エネルギーを対象に丸ごと放出してぶつけることで、相手の精神を乗っ取ることが出来る術だが…
直線且つゆっくりにしか術が飛ばないし、失敗しても本体に意識が戻らないっていう難点もあることから、元々戦闘にはあまり向いてない術だよ。
だから動き回ってりゃ別に怖くない…それどころか術をかわせば動かない相手を数分間タコ殴りにできる。」
『そうなれば試合を止めざるを得ないってこと…?
いのちゃん、かなり捨て身な戦法を取ろうとしてるわけね』
「ま、そうだな…」
サクラは機を見計らい、心転身の術にかけられないよう縦横無尽に場内を駆け始めた。
いのはそのサクラを指で組んだ印の中に閉じ込めるよう慎重に追う。
彼女にとっては一か八かの大勝負。
サクラも絶対にかかる訳にはいかない…
そして―――