第65章 予選開幕
(あの獅子連弾の前までの動きは、確かにガイの体術…大方リーって子とひと揉めした時に写輪眼で記憶したってことか…)
場内に降り立ったカカシは、倒れかけるサスケの背を膝で支えてやりながらそんなことを考えていた。
「ま、よくやったな…」
体を押さえ、痛てぇなと呟きながら、息絶え絶えに座り込んだままのサスケ。
あれだけのことをした後だ。
体へのダメージも相当大きいだろうし、何より呪印が身体に及ぼす影響は、命をも脅かすほど甚大だ。
(ま…無理もないだろうな。)
上の観覧席からはナルトのデカい声が響いていた。
サクラとさきにも、サスケは気がついているようだ。
(この呪印の力をも抑え込む精神力…そして戦いにおけるセンス…
そして、こんなところで写輪眼の本当の力を開花させるとは…恐ろしきは…うちはの血というわけか)
開いた本越しにサスケを見ながら物思いに耽っていると、既にヨロイを担架に乗せた医療班がこちらの方へ向かってきた。
「君にも、我々医療班が最善の治療をさせていただく」
「君たちじゃ畑違いなのよ。コイツはオレが預かるから」
カカシは駆け寄ってきた医療班をサラリとあしらった。
本当の状況を知らない彼らはカカシの言葉に戸惑っていたが、怪我の治療を行うのは、まず呪印を封印してからだ。
直ぐに次の試合も始まりそうだが、のんびりサスケに見せてやれるほどの時間も余裕も今はない。
何せ今どこに大蛇丸がいて、何を企んでいて、この呪印が暴走するかわからない。
サスケの体のことも考えると、一分一秒でも早い方が良いからだ。