第65章 予選開幕
―――――― シュウウ…
全身に広がり始めていたアザが、まるで嘘のように引いていくのが確認できた。
『ひいてく…!』
「!」
カカシもまさか持ち直すとまでは予想していなかったのだろう。
驚きを隠しきれない表情で固唾をのんだ。
気力だけで持ち直したというのか。
だとすれば、あの強いアンコをも苦しめる呪印を退ける程のサスケの気力とは、一体どれほど強いものなのか。
「いくぜ」
薄ら笑みを浮かべたサスケはヨロイの衣服をグッと掴み、自分の足を振り上げた方へ向かって勢いよく投げた。
そしてその勢いのまま蹴り技を繰り出してゆく。
ガシィッ!!
ヨロイの左腕によって受け止められる、強い蹴り。
サスケはそれに動じることなく、すかさず空中で巧みに体を捻り、地面に向かって脚を振り下ろした。
続けて拳。
ドッ!!
ヨロイの鳩尾に深く刺さるような技とともに、二人は落下してゆく。
サスケの攻撃の手は止まることなく次辻とが繰り出されてた。
「まだまだァ!!」
彼の抜群の運動神経で大きく振りかぶられた左足が、落下の衝撃とともに、見事にヨロイの腹にめり込んだ。
「獅子連弾!!」
ヨロイは勢いよく血を吐き、サスケは技の反動で数メートル程体が投げ出された。
ハヤテがヨロイに近づき、試合続行可能かを確認する。
……どうやら無反応のようだ。
その先で、息を整えながらなんとか体を起こしたのはサスケの方だった。
「これ以上の試合は私が止めますね…よって…第一回戦勝者うちはサスケ…予選通過です!」