第64章 通過者と棄権者と
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改めて三代目から忠告を受けたさきはその後、すぐにカカシと落ち合った。
「アイツら無事、帰ってきたみたいね」
『うん、ひとまずよかったよ…』
「ああ、だな…それとサスケのことで、お前に伝え忘れてたことがあるんだけど…」
と、カカシに聞かされたのは、サスケが既に写輪眼を開眼しているということだった。
『えっ』と一瞬さきは隠しきれない動揺を見せた。
さきの知らない中、波の国での戦いの最中にサスケは写輪眼を開眼していたのだ。
(そうなんや…でも…びっくりしたけど、流石サスケくん。うちは一族の中でも開眼しない人もいるって話だったけど、実のお兄さん同様、あの子もその才能に恵まれてたんやね…)
『そう…知らなかった。すごいね』
「こういう状況じゃなければ、徐々にその使い方ってのを身につけてもらわにゃならんと思ってたとこだけど…何せあの呪印がすべての邪魔をする。…あれは少しでもチャクラを練ろうとすれば反応する強力な呪印だからな。恐らく、写輪眼を少し使おうとするだけでも、呪印は暴走し始めるだろう。」
『そっか…今のサスケくんの実力なら、写輪眼なしでも十分通用するとは思うけど…きっと使おうとするよね』
あの子はそういう子だ。
「ああ…火影様の試験についての説明の後、オレがサスケに写輪眼を使わないよう言って聞かせるから…試合中もしもの事があれば…さき、お前も試合を止めてちょーだい」
『ん、わかった…』