第64章 通過者と棄権者と
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程なくして、火影様がイズモとコテツと共に塔へおいでになった。
火影様はアンコの目の前に立ち、呪印をみせるよう促した。
「どうじゃ。呪印はまだ痛むか…」
「いえ…おかげでだいぶよくなりました」
少し強がりもあるだろうが、彼女の容態も先程よりも落ち着いた様子。
火影様も分かってはいるようだったが、それについて言及はしなかった。
―――――― ピッ!!
その時、無機質な機械音が空気を裂くように短く響く。
内線が繋がったようだ。
「アンコ様!!第二の試験通過者総勢21名を確認!中忍試験規定により第三の試験は5年ぶりに予選を予定します!第二の試験終了です!」
ちょうど試験開始から120時間…五日が経ち、試験終了の報告が担当の者から告げられた。
「…試験はこのまま続行する…大蛇丸の動きを見ながらじゃがな」
「ハイ…」
ぽんぽんと肩を軽く叩かれたアンコは、どこか覚悟を決めるように暗い声で返事をした。
そうなれば次の予選に向けての準備だと、アンコを含め他の中忍以上の忍たちはぞろぞろと部屋から退出した。
さきも彼らに続いて部屋を出ようとしたのだが、火影様に呼び止められ、全員の背中がドアの向こうへ消えてゆくのを見送った。
パタリとドアが閉まり、足音が耳に届かなくなったところで、ようやく火影様は口を開いた。
「さき、カカシから話は聞いておる。じゃが封印を施す前に第三の試験の予選じゃ。サスケの呪印しだいでは試合を止めることになると思うが、良いな?」
『…はい』