第64章 通過者と棄権者と
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その日の夜は、カカシ達と共に上忍待機室で仮眠をとる形となり、朝日が昇るよりも少し前にそっと部屋を抜けて、さきは再び死の森の棟へ戻った。
未だ呪印が疼くアンコの体調をみつつ、一組ずつ帰ってくる下忍達の様子をモニター越しに確認し、合格者たちの担当の中忍から報告を受ける。
これの繰り返し。
―――まだ、第七班の三人は塔に到着していなかった。
さきはずっとソワソワしていた。
「アンタとカカシのとこの子ら、まだね……」
『うん…あの子達ならきっと、大丈夫やと思うけど…』
「これでも、私も期待してるんだから……あ、また一組帰ってきたわね」
『え?!誰?!』
さきは勢いよく画面の方へ向き、パタパタと近くに駆け寄った。
そこに映っていたのは…
『薬師…カブト……』
前回自分と受験した時は、初日に帰ってきたのに、今回は最終日まで苦戦したようだ。
「…違ったようね」
『…うん』
薬師カブト…一体この人から感じる嫌な感じは何なのか。
さきはやはり、カブトの雰囲気というか、空気感というか、言葉にうまくできない何かにずっとモヤモヤを感じていた。
(もう7回目の試験で…少なくとも二遁が使えるこの人なら、もっとほかの下忍と差がついててもいい。もっと早く辿り着いてていいはずよ。絶対…何か変でしょ……)
不審に思いつつ画面を眺めていると、ちょうどカメラのギリギリ届かないところで立ち止まり、カブトの半身だけが数十秒映像として流れてきた。
(…なに、してるんやろ……)
恐らく手元は動いていて、誰かと何か話してるみたいだ。
でも、なんでこんなにこの人が気になるんだろうか。
「さき。そう言ってると…ホラ来たわよ」
『え?!』
アンコの声掛けに、さきは我に返った。