第64章 通過者と棄権者と
さきはその水を口に含み、乾いた喉を潤した。
思えば、死の森の中でも数日間塔の中に籠りきりで業務にあたり、かと思えば何時間も止まることなく走ったり、大切な仲間の命に係わる話を聞かされたりと、碌に休息をとる間もなかった。
彼女は久々に口にした水分を一滴も残さずグイグイと飲み干し、あっという間にグラスは空になってしまった。
そして、カカシらに促されるまま深呼吸をする。
さきに少し落ち着きが見え始めたところで四人は再度話をはじめた。
『…呪印をそのままにしておくと、サスケくんのチャクラに反応していつ暴走するか分からない。どうすればいいの…?』
「そうね……カカシ、アンタ封印術はできるの?」
「ま、ある程度はな…但し封印なんてモンは、解術とは違って完璧なものじゃない。
様々な要因によって簡単に解けてしまうこともある。」
「それでも無いよりマシだろうさ…このまま試験は受けさせるのか?」
サスケの体を思うなら、ここでやめさせるのが本来の、彼の担当としてカカシやさきが取るべき判断だ。
「止めた方がいいかもね…。…ま、アイツが大人しく言うこと聞くわけないだろうけど。」
あの頑固で意地っ張りのサスケのことだ。
何がなんでもライバル達と戦いたいと言うに違いない。
『私もそう思う…』
「止めても無駄か…それより厄介なことになるだろうねぇ…」