第63章 Shell
『え…?!』
さきは聞き返すことしかできなかった。
―――さきにとっては考えたくもない話だったが、火影様の話を要約すると、大蛇丸はサスケを…。
いや、うちは一族の優れた能力とその末裔であり若くまだ幼いサスケの人体を大蛇丸が狙っている、ということだ。
かつて、大蛇丸はそれらを欲するあまり、サスケの実兄であるうちはイタチを狙った。
しかし、全く歯が立たなかったという。
次の手として大蛇丸が今回狙っているのが他の誰でもない、サスケ…ということだ。
そして、大蛇丸にとってお気に入りのしるしとも言える呪印。
それは非常に強い力を引き出すことのできる代物だが、自らのチャクラを練ろうとすると、大蛇丸のチャクラと反応して激しく痛み、その力を求めれば求めるほど暴走を始め、体を蝕み、最悪死に至る。
アンコの首に刻まれていたアレを今度はサスケに施し、サスケの弱みにつけこみ、自分のモノにするつもりだろうと。
それが火影様の考察だった。
『そ、そんな…』
紛れもなく、さきの大切な存在であるサスケがこの世界中の脅威である忍、大蛇丸の標的となっている…それは、彼女の中の恐怖心をひどく煽った。
何せあの三体の死体を見たあとだ。
もし、サスケまでああなってしまったら…なんて思うと、嫌でも手指が震えてきてしまう。
顔色を真っ白に染めるさきを横目に、火影様は静かに話を続けた。
「大蛇丸は優れたうちはの血を欲している。
アンコの話を考慮すると、この試験中に既に大蛇丸とサスケが接触している可能性は非常に高い。試験終了後、サスケを見てみなければ断言は出来んが…」
『火影様…あの呪印は、なんとか消せないのですか…?!』
「残念だが、その方法はわからん」
『…っ!…カカシはこの話を知ってるんでしょうか』
思わず声までもが震える。
火影様は首を横に振り、否定の意をあらわした。