第62章 異変 2
大体の大蛇丸のことは把握した。
…となると、大蛇丸の目的は一体何なのか。
先程火影様は、大蛇丸はこの里に恨みを持っていると言っていた…。
(なら、この里を襲うこと?)
でも、単独でこの里に復讐することだけを目的としているならば、大蛇丸の行動はおかしい。
わざわざ受験者に成りすます必要があったのだろうか。
何故、第二の試験に紛れ込むことを決めたのか…。
(もしかしてこの里には、他にも何か仕掛けられていて、私たちが気付いていないだけなんじゃ…)
さきは暫く考え込んだ。
そして、あるひとつの可能性にたどり着く。
『…火影様…まさかですが、同盟国が木の葉の里を裏切ることはありませんよね…?例えば…この中忍試験に潜入し、戦争を始める…とか……』
大蛇丸はどの里の驚異でもある反面、味方になればとんでもない戦力になる。
大蛇丸と組めば、木の葉の里を裏切って争いを起こす…なんてことも可能だろう。
火影様はゆっくりと煙を吐きながら、足元に目を落とした。
「…はっきり言って、裏切る可能性もあるだろう。木の葉はどの忍里にも劣らん経済力、戦力、そして安定した暮らしがある。
…様々な犠牲の上に成り立つ条約は、両国の信頼関係あってのものじゃ…。
今の世界情勢を見る限り、力さえ手に入ればそれは意味の無いものだとも言える…」
さきの元いた世界では、当たり前のように国際会議が行われて、国のトップ同士の対談が何度も何度も繰り返し行われる。
そして、条約を取り締まる機関も設けられていて…
(――― なんて過ごしやすい世界だったんだろう)
戦争を経験した人々が、どうすれば平和な世界になるのかを考えた結果が、私の生きていた世界なんだ。