第62章 異変 2
まるで昭和以前のよう。
『……なんて不安定な世界…』
ポツリと嘆くように呟くと、火影様はさきの考えを見透かしたように優しく彼女の肩にポンと手を置き、話した。
「お主が今考えたであろうことは、最悪の事態じゃ。まだ情報が少なすぎる。考えすぎるのも良くない。
なに…確実にこの世界は前に進んでおる。この里を、国を背負っていくのは次の若い世代じゃ。この試験はそのための大きな一歩でもある。悪い事ばかりではない。
だからこそ、大蛇丸の脅しがある、なしに関わらず、この試験は続行すべきなのじゃ。
もしものことがあれば、里の力を総結集して戦う。お主もこの里の一員じゃろう…その時は…」
『勿論です!私にできることをします。…何があっても“あの子たちだけは”』
さきの言葉に、火影様は大きく頷き、とても穏やかな笑顔を作った。
「その思いこそ、火の意思だ…お前もそれを受け継ぐ者。信じておるぞ」
『はい』
「…さて、アンコ。先程言ったように、第二の試験はこのまま続ける。苦しいとは思うが、試験官を引き続き頼むぞ。
さき、アンコの面倒を見てやれ。無茶をさせぬように助けてやるのじゃ。
ワシはまた後日、改めてここに来る。大蛇丸の件は、少しワシの方で考えてみよう。」
「『了解』」
アンコとさきの声が揃った。