第62章 異変 2
『…なるほど。…でも、何故里に侵入できたんでしょうか。
三体の遺体が発見されたのは、里内部です。里へ入る前から成り代わっていたのであればバレないのも分かりますが…』
「大蛇丸はね…里を抜ける以前は、今の志村ダンゾウ配下の暗部…根の一員として行動していたことがあるのよ」
さきの質問に、アンコがすかさず答えた。
『え…ダンゾウ様の…?火影様直轄の暗部以外に、そんな組織があるの?』
ダンゾウ様とはこれまで何度か火影邸でお会いすることがあった。
いつも挨拶をすればジィっとこちらを頭の先からつま先まで一通り確認した後、小さく一言返してくれる。
その素性はよく知らないし、ただ火影様と何らかのかかわりがある方なのだろうとは思っていたのだが…暗部を率いていたなんて、まったく想像さえもしていなかった。
「元々、根とはダンゾウの創った暗部養成部門…しかし今は“表面上”無くなった。
ダンゾウは根を私兵化しておってな。ワシの暗部とも対立し、争ったことも過去にはある。
あやつはワシの良き相談役でもあったが、簡単に言えば仲違いをしてな……里を思う気持ちは同じでも、ヤツの考えに賛同することはワシは出来ん。互いに関わることをやめたのじゃ…」
『そうなんですか……つまり…その、根という暗部に所属していたから、里の結界の術式や、何らかの侵入方法なんかも、知っていたということですね?』
火影様とアンコは、首を縦に動かし、うんと頷く。
「火影様。大蛇丸はこの試験を中止すると、里を潰すと脅してきています。本来であれば、すぐにでも中止すべきですが…」
「……やむを得ん…あやつの力は計り知れん。
このまま試験を続け、様子を見ていくしかあるまい。」