第62章 異変 2
ため息とともに、さきの頭が小さく左右に揺れる。
アンコが気付いたことにさきもまた気付いてしまったようだ。
アンコはそんなさきと目を合わせることなく、じっと画面を見つめ、未だ乱れる呼吸を整えながら小さく笑った。
「こいつらすでに下忍レベルじゃない…今までの最高記録を4時間も塗り替えてしまうなんて…」
「それだけじゃないわ」
「………どういうことですか?」
中忍が堪らずその問いを投げかけると、アンコはテレビ画面からフラフラと離れ、広大な森が見える、その窓際へ向かって歩いた。
「試験場入り口からこの塔まで約10キロ…猛獣、毒虫、険しい森の道…それをまるで何事も無かったかのように…」
そう話すアンコの声は、どこか浮ついている。
面白い子が出てきた…と、まるで楽しむかのように。
「特に手前の茶髪の子」
「この子が何か…?」
『顔や体、よく見てみてください。』
さきの言葉に、中忍は目を凝らし、画面に近づくようにして問題の男の子を凝視した。