第62章 異変 2
アンコは暫くの間絶句し、そして小さく呟いた。
「こんなことって……」
そしてまた画面上の何かに気付き、息をのんだ。
「わずか97分で…未だかつてこんなことは無かった…これは異常です…!!」
中忍の声も僅かに震えていた。
一時停止されたその画面上で一際目立つのは、まるで氷のナイフのように冷たい目で監視カメラを睨み付けるように見上げる、大きなヒョウタンを背負った、赤い髪の男の子。
志願書を思い出す限りでは確かこの子は、ナルト達と年齢も変わらなかったはずだ。
額には特徴的な、「愛」という文字が刻まれている。
(この子…せっかく若くて肌も綺麗なのに、こんなにもクマがどうして…)
少年を観察していたところ、とあることに気付いたさき。
無意識のうちに、小さな声が漏れていた。
『…え……?』
それが一体どういうことなのか、一応わかってはいるつもりだ。
しかしあまりに非現実的なことすぎて、大蛇丸の件からもうずっと追いついていなかったさきの思考は、また置いてけぼりを食らった。
『……アンコ…この子…』
「えぇ…さきも気がついた?」