第62章 異変 2
―――――― テレビに映し出される記録テープ。
一時停止ボタンが押されたその画面の右上。
「いいですか!ここ!時間見てください!」
中忍が必死に指差していたのは、秒ごとに刻まれていく時計の部分。
その場でテレビを囲むようにしていた忍全員が目を見開き、そこに映し出されたものへの驚きを隠すことが出来なかった。
「こ……これって…」
『…嘘やろ…?』
アンコに続けてさきの口からも思わず声が零れた。
「第二の試験開始1時間37分後…塔内の録画です!砂の国の忍3名が、第二の試験……突破しました」
アンコは、これまで何年もこの第二の試験の試験官を務めてきたと言っていた。
が、彼女の様子からしてみても、かつてこんなタイムは無かったのだろう。
…いや、寧ろ無くて当然だ。
一般人が平坦な道を10キロ本気で走ったとして、40分を切るのには相当苦労し、このタイムはひとつの大きな目標として定められる。
修行を積んだ忍と一般人とでは、走るスピードが全く違うことは明らかだ。
でも、いくらその忍の足とはいえ、ほぼまっすぐな道なんて無いとも言えるこの森の地形で、獣や虫などの生き物や、他の忍との交戦を経て、目的の巻物を持ってここまで来るとなると…五、六時間かかっても、じゅうぶん早い方なのだ。